降水時の爆発的火山噴火に関するレーダ気象学的研究

基本情報

機関番号 17701

研究機関名 鹿児島大学

研究期間 平成28年度~31年度

研究種目名 基盤研究(B)(一般)

研究課題番号 16H03145

研究課題名 降水時の爆発的火山噴火に関するレーダ気象学的研究

研究代表者

 10360364 眞木雅之 地域防災教育研究センター 特任教授

研究分担者

 50452925 黒光貴峰 法文教育学域教育学系 准教授

 80614023 佐藤英一 気象研究所火山研究部 研究官

キーワード   火山噴火,気象レーダ,降水,噴火雲,防災教育,ジオパーク

目的

これまでほとんどわかっていない降水時の爆発的噴火を対象に,先端的気象レーダ観測により噴煙柱・火山灰雲の実態を明らかにし(課題1),運動学的及び微物理学過程を考慮した噴火現象の概念モデルを提案する(課題2).更に,研究内容や成果をわかりやすく紹介する教育用教材や一般向けパンフレットの作成,シンポジウムの開催などを通じて噴火現象と火山防災に関する知識の普及を図り,地域社会の防災力向上に役立てる(課題3)ことを目的としている.

はじめに

爆発的火山噴火は、上部マントルで生成された粘性の高いマグマが爆発を伴って地表に噴出する現象である。爆発的噴火の形態は古典流体力学の理論から説明されてきた(小屋口ほか、2011、ながれ30)。理論的研究や数値モデル研究によれば、噴煙柱はその駆動力の違いから、ガス推進域,浮力推進域,傘型領域の三つに分けられ、それぞれ、乱流ジェット、乱流プリューム、密度成層流体中の重力流で記述される(図1)。火砕流は火口から吹き上げられた噴出物が浮力推進域で十分な浮力を得られない場合に噴煙柱が崩壊して発生する。火砕流は非粘性流体の重力流で記述される。

 

 

理論的な研究に比べて、爆発的火山噴火の観測的研究は遅れていた。その理由として噴火がまれな自然現象であること、観測手段が限られていたことが挙げられる。しかし、1990年代後半になると、研究用レーダが利用できるようになり、本格的な噴煙観測が開始される。例えば、本申請の連携研究者である福井は初めてドップラーレーダにより桜島の噴煙観測をおこなった(福井ほか、1996、日本火山学会講演予稿集2)。また、申請代表者の真木は偏波レーダにより三宅島雄山の噴煙の観測をおこなった(Maki and Doviak, 2001, Preprint IGARSS 2001、真木・岩波、2002、防災科研研究資料226)。海外でも1990年代後半にドイツ,フランス,イタリアにおいてレーダによる観測が開始された(例えば、Hort and Seyfried, 1998, Geophys. Res. Lett. 25;Dubosclard et al.,1999, Geophys. Res. Lett 26;Dubosclard et al., 2004, Bull. Volcanol. 66)。国内外でほぼ同時期に始まったレーダによる噴煙観測研究であるが、研究成果は欧州にリードされた感がある。その理由として、欧州が小型のレーダを開発し、機動的に噴火の観測を行ったのに対し、我が国では気象レーダの移設に許可が必要なために観測機会を逃したためであろう。更に、噴煙に興味を持ったレーダ気象学の専門家が少なかったことが理由としてあげられる。

前述したように、申請者は2000年にMPレーダによる三宅島の噴煙観測をおこなったが必ずしも学術的な興味からではなかった。島民およびライフラインを維持する作業員の安全確保を目的とし、完成したばかりのMPレーダを式根島に設置し、24時間連続で噴煙情報をweb上に公開した。このことがきっかけとなり、レーダによる噴火の検出と定量的な降灰量推定に興味を持つに至った。その後、2011年の霧島新燃岳の噴火では文科省の緊急研究として国交省の現業レーダのデータを解析し気象レーダによる定量的な降灰量推定が可能であることを示した。本格的なレーダによる噴煙研究は2013年に鹿児島大学の特任教授に赴任してからである。赴任後、京大防災研一般共同研究「気象レーダによる噴煙の実態解明と火山防災」(H25~H26、代表 真木雅之)では、火口から4kmの地点に設置したKaバンドドップラーレーダ観測により桜島噴煙柱の詳細な内部構造を捉えることに成功した(図2、Maki et al. 、2016, J. Disast. Res. 11)。また、鹿大研究プロジェクト「気象レーダによる火山灰雲の3次元監視に関する研究」(H27、代表 真木雅之)では噴煙柱・火山灰雲のレーダデータ三次元解析プログラムを整備中である。本申請はこれらの研究成果をさらに発展させるとともに、ほとんど手が付けられていない降水時の噴火現象の解明を目指すものである。

 

研究成果発表

研究発表(年度毎)

2016年度

〔雑誌論文〕計( 1 )件/うち査読付論文 計( 0 )件/うち国際共著 計(0)件/うちオープンアクセス 計(0)件

  1. 真木雅之,2016.気象レーダによる火山灰雲の三次元監視に関する研究,鹿児島大学「南九州から南西諸島における総合的防災研究の 推進と地域防災体制の構築」 報告書,63-92.

〔学会発表〕計( 9 )件 /うち招待講演 計( 0)件/うち国際学会 計(5)件

〔そのほか〕計( 7  )件

  1. Fukui, K., E. Sato, T. Shimbori, and K. Ishii, 2016. Detectability and observations of eruption clouds by the JMA’s C-band weather radar network, Cities on Volcanoes 9, November 20-25, Puerto Varas, Chile
  2. Sato, E., K. Fukui, T. Shimbori, K. Ishii, M. Maki and M. Iguchi, 2016. Preliminary Results of Volcanic Ash Plume Observation by Weather Radar Network around Sakurajima Volcano, Japan, Cities on Volcanoes 9. November 20-25, Puerto Varas, Chile
  3. 佐藤英一, 福井敬一, 新堀敏基, 石井憲介, 真木雅之, 井口正人,  2016. “先進的な”気象レーダー網による噴火の初期解析結果, 日本火山学会2016年度秋季大会. 富士吉田市,2016,10/12-16。
  4. Kim, Y., M. Maki, M. Iguchi, and D.-I. Lee, 2017, Analysis of volcanic ash clouds under moist environment using ANT3D. 日本気象学会春季大会講演予稿集,111,374.東京,2017,5/26-29.
  5. Kim, Y., M. Maki and D.-I. Lee, 2017, Three-dimensional analyses of initial stage of convective precipitation with two X-band polarimetric radars, JpGU-AGU joint meeting 2017. 2017 5/20-25 Makuhari
  6. 真木雅之・小堀壮彦,2017,火山噴煙の三次元レーダデータ解析ツール(ANT3D)の概要,日本気象学会春季大会講演予稿集,111,373.
  7. Sato, E., K. Fukui, T. Shimbori, K. Ishii, M. Maki, and M. Iguchi, 2017. Volcanic ash plume observation by weather radars, JpGU-AGU joint meeting 2017.

2017年度

〔雑誌論文〕計( 1 )件/うち査読付論文 計( 0 )件/うち国際共著 計(0)件/うちオープンアクセス 計(0)件

  1. 真木雅之,2017,火山観測用Kuバンド高速スキャンレーダ,鹿児島大学地域防災教育研究センター平成 29 年度報告書.17-24.

〔学会発表〕計( 10 )件 /うち招待講演 計( *)件/うち国際学会 計(2)件

  1. 佐藤英一・福井敬一・新堀敏基・石井憲介・真木雅之・井口正人,  2017, 二重偏波レーダーを用いた火山噴煙の観測について, 2017年度日本気象学会春季大会予稿集, 111, 54.
  2. Sato, E., K. Fukui, T. Shimbori, K. Ishii, T. Tokumoto, M. Maki, M. Iguchi, 2017, Fine structure of volcanic ash plume observed by advanced weather radars, IAVCEI 2017 Scientific Assembly.
  3. 佐藤英一・山内洋・福井敬一・新堀敏基・石井憲介・徳本哲男・真木雅之, 2017, 二重偏波レーダーによる火山噴煙の解析-ρhvのノイズ補正-, 日本火山学会講演予稿集2017年度秋季大会, 108,B3-18.

  4. Kim, Yura, M. Maki and M. Iguchi, D.-I. Lee, 2017, Analysis of volcanic ash clouds under moist environment using ANT3D., 日本気象学会2017年春季大会予稿集, .
  5. Kim, Yura, M. Maki and D.-I. Lee, 2017, Three-dimensional analyses of initial stage of convective precipitation using two X-band polarimetric radars, 日本地球惑星科学連合2013年大会予稿集, AAS08-16.
  6. 小堀壮彦・真木雅之・福島誠治,2017,気象レーダを用いた降下火砕物の落下速度の推定,日本火山学会講演予稿集,108,B3-15.
  7. 真木雅之・小堀壮彦,2017,火山噴煙の三次元レーダデータ解析ツール(ANT3D)の概要,日本気象学会春季大会講演予稿集,373.
  8. 真木雅之,2017,自由落下実験から得られた火山灰粒子の空気力学的特徴,日本火山学会講演予稿集,108,B3-17.
  9. 水落裕也・真木 雅之・福島 誠治,2017,降灰観測のためのXバンドMPレーダ反射因子の再解析,日本火山学会講演予稿集,108,B3-16.

  10. Suh, S.-H., M. Maki, D.-I. Lee, T. Momotani, and A. Yamaji, 2017, Physical parameters analysis of volcanic ash particles measured by 2D-Video Disdrometer, JpGU-AGU joint meeting 2017.

〔そのほか〕計( 5 )件

  1. 佐藤英一・福井敬一・新堀敏基・石井憲介・徳本哲男・真木雅之, 井口正人, 気象レーダーによる桜島の噴煙観測結果について, 災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画桜島課題研究集会.
  2. 佐藤 英一, 2017年10月霧島山(新燃岳)噴火の気象レーダーによる観測について, 東京大学地震研究所共同利用研究集会「火山現象のダイナミクス・素過程研究」.
  3. 佐藤英一・福井敬一・新堀敏基・石井憲介・徳本哲男・真木雅之・井口正人, 気象研究所による噴煙レーダー観測と事例解析結果について, 第2回「降水と噴火」研究集会.
  4. 佐藤英一, 火山噴煙のレーダー観測について , 防災ワークショップⅡ-大規模火山噴火に備える地域防災.
  5. 真木雅之,2018,火山灰を雨雲レーダで観測すっど!~研究最前線! 灰はどこに流れるの?,気象サイエンスカフェinかごしま(第5回),日本気象学会,鹿児島市マルヤガーデンズ,218年2月3日.

2018年度

〔雑誌論文〕計( * )件/うち査読付論文 計( 0 )件/うち国際共著 計(0)件/うちオープンアクセス 計(0)件

〔学会発表〕計( * )件 /うち招待講演 計( *)件/うち国際学会 計(*)件

  1. 高岡 蓮・真木 雅之・福島 誠治,2018,光学式粒径分布測定装置における降灰粒子測定精度の評価,JpGU2018予稿集,MIS16-P03.
  2. 真木 雅之・小堀 壮彦・Kim Yura・佐藤 英一,2018,Kuバンド高速スキャンドップラーレーダにより観測され桜島火山噴煙柱の三次元構造,JpGU2018予稿集,MIS16-02.
  3. 大平・真木雅之・D-.I. Lee,2018, パーシベルによる桜島降灰のリアルタイム監視.日本気象学会春季大会講演予稿集,.

 

〔そのほか〕計( * )件

 

 

謝辞の書き方

 「次世代火山研究」の場合

  • 本研究は文部科学省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」の資金等の提供を受けたものです。
  • This work was supported by MEXT “Integrated Program for Next Generation Volcano Research and Human Resource Development”

 

  • 本研究は文部科学省 「活断層の重点的調査観測」、「活断層の補完調査」、「沿岸海域の活断層調査」の資金等の提供を受けたものです。
  • This work was supported by MEXT “Comprehensive Research Project for the major active faults”,“Supplementary Research Project of Active Faults for Longterm Evaluation”, “Supplementary Research Project of Active Faults in Coastal Area for Long-term Evaluation”

 

 科研費B「降水時の火山噴火」の場合

  • 本研究はJSPS科研費 JP16H03145の助成を受けたものです。
  • This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number JP16H03145.

 

 科研費B「降水時の火山噴火」と科研費A「降灰の散乱特性」の両方の場合

  • 本研究はJSPS科研費 JP16H03145, 24244069の助成を受けたものです。 
  • This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Numbers JP16H03145, 24244069.

   http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/faq/1322968.htm